優しい自分に嫌気がさす

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下地です、

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“優しい自分に嫌気がさす”
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そんなことを
繰り返してきました。

なにも、いい人面したいわけでは
ありません。

僕はチーム内で上の人や
権力のある人に
自分の思っていることが
言えません。

ちょっとした意見の交換ですら
争いの雰囲気が出ると
一歩下がってしまいます。

沖縄出身だからなのか
平和主義です。

昔から
チーム内での和を保ちたくて
いい雰囲気を作りたくて

笑顔で相槌を繰り返していました。

仕事も

『チームの歯車として
高い性能で回り続けれる
役に立つ歯車でいいじゃないか』と
思って努力していました。

でも残念ながら
チームや監督からの評価は
使い勝手のいい駒でした。

『俺は俺のやり方を貫くから
使われなくてもいい』と思えるほど
強くもなく、

逆に
”自分の意見を通さなければいけない”とか
”アピールする”という風潮に

どこかエゴ的で
『自分さえ良ければいいのか』という
感覚を抱いてしまいます。

実際アピールが重要とされる
競争社会なので
自己主張の強い選手は
たくさんいます。

自分が試合に出るために
『こいつのプレーのせいでうまくいかない』と

監督やチームメイトの前で
相手を落とすような主張を
平気で言ってくる選手もいます。

そういう選手はチーム内で
ちょっと権力を持っている小者に
多いのですが

苦手です。

でもそういう人にも
僕は一貫して
言い返しませんでした。

それは
『プレーで見返してやる』と
闘志を燃やしていたのではありません。

正直言うと
言い返せなかったのです。

それに自分より権威があって
監督からの信頼度が高い人に
言われてしまうと

『そうか。』と
受け入れてしまったり

う~と落ち込んでしまって
瞬発的に言い返せないのです。

でも練習が終わり
家に帰る途中には
自分のせいにされた悔しさと

言い返せなかった惨めさで
またへこみます。

結局言い返せず
監督にも自分が悪いという
評価をされても

もっと役に立つようになりたいと
思ってさらに努力したり

自分に責任をなすりつけてきた人にすら
『感謝しよう』と思っていました。

そこから
ただのいい人はいやだ!
結果を出せる人になりたい!と思って

セルフイメージや
目標達成系をやって

『自分は変わった』
『メンタル強いんだ俺は!』
と思い込んでも

自分の意見がなかなか
言えなかったり

勇気をふりしぼっても
ビビって声が震えたり
膝が震えました。

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はっきり物事を言うことが苦手
『これは一生変わらないな』
と確信しました。
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ブラジルで
新しいチームに入った時でした。

あるブラジル人選手に
からかわれた時がありました。

彼らから見たら
男らしいさや
たくましさもない

無口で見た目が
サッカー選手っぽくない僕は

格好の獲物だったのでしょう。

その選手は
スタメンに入っていない
中堅の選手でした。 

彼は自分よりも
チーム内での序列が低い
入ったばかりの日本人に
マウンティングをとる作戦に
出てきました。

毎日会えば必ず

『ジャパジャパ』
(日本人をからかうときのブラジル人の言い方)とか

『ジャパガール』
(女の子みたいなやろうだ)と
執拗にからかってきました。

練習中には
ちょっとした僕のミスに

大袈裟な態度で威嚇し
コーチに僕の失敗だとアピールし続けました。

まるで子どものような
振る舞いに呆れつつも

『監督に嫌な印象を
与えたらどうしよう』と
不安にもなりました。

言い返したいけど
言い返す勇気がなくて

笑顔を作って
冗談半分で対応するのが精一杯。

3週間ぐらい耐え忍んで
流石に我慢ができなくなって
試合中に怒鳴りました。

相手も
マウンティングを取ってくるような
言ってみれば小者なので

言われてビビったのか
それ以降黙るようになりました。

それから
数週間して結果の出なかった彼は
チームを去って行きました。

僕はスッキリしたかと言えば
そうではありませんでした。

彼を怒鳴ったとき
膝が震えました。

その震えは
試合後も止まらず

相手にキツく言ってしまった自分に
後悔しました。

彼はそれ以降
言って来なくなったし
辞めていったけど

もっとやり方があったのではないかと
悪いことをしてしまった気になり
後味が悪かったです。

昔は
自分の意見が言えなくて凹み

自分の意見を言えるようになっても
膝は震えさらに後悔する。

根本的に
競争社会の競争マインドが
肌に合っていなかったのだと思います。

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意見を言わなくても
結果を出せる道
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というのがわかったのは
タイに来てからでした。
 

それは弱い自分を受け入れてからでした。

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ただのいい人にもなりたくないが
人と争って生きたくない
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その思いを
実現できるように
なったのは

トッププレーヤー
たちとの出会いでした。

それまで
上に行くには
相手を出し抜く以外にないと
教わり

それができずに
苦しみましたが

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『職場の仲間や家族
友達が楽しければ自分も幸せだ』
と思いながらも結果を出せる方法
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を知り僕は救われました。 

長い競争社会の旅を経た今
優しさのままでもいいのだと
再確認しています。
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下地奨

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