『中学校でクラブチームに入った方がいいか
部活でもいいか進路に迷っています』という
ご質問をいただきました。
僕の回答は・・・
部活でいい。
むしろ部活がいい。
このご質問の場合
クラブユースがいいか
学校の部活がいいか。だと思うのですが
僕は
部活がいい
できれば指導者がいない弱小校でいい
と思っています。
中学から
クラブユースに行く必要が
あるとは思いません。
むしろ高校も
そんな感じでいいとも
思っています。
『いや、それは下地さんクラブ育ちだからそうやって言うんだよ』
『部活に入ったら将来の可能性がなくなっちゃいますよ』
確かに、そうかもしれません。
でも僕は
若い頃から
”最先端の環境にいない選手”のほうが
大成するという事実を
知っています。
現にプロ選手になり
しかも長く活躍している人には
そういう選手が多いです。
ではなぜ
クラブジュニアユース・
ユース育ちの僕が
部活しかも
指導者のいない部活を勧めるのか
『プロサッカー選手になるために
競争社会に入ってはダメな理由』と
『夢を実現する大人になるためには
育成させられないで過ごすことが重要なポイント』
について
今日は書こうと思います。
・・・
競争競争で過ごした
中学高校年代。
中学一年
当初30人ぐらいいた
チームメイトの半分近くが
一年間で
クビになり
辞めさせられていきました。
その衝撃は
今でも忘れません。
昨日までいた仲間が
うまくいかないという理由で
去っていきました。
『でもそれは、プロを目指すんだから当然でしょ』
と思うかもしれませんが
実はそういう厳しさからは本当のプロは
輩出されません。
僕はその時
クラブに残れた安心と
去っていく仲間への
後ろめたさを感じ
嫌な気持ちになりました。
どうして後ろめたさを感じたか?
それは
競争の環境の中で
彼らがうまくいかないときに
助けるよりも
自分の損得を優先して
プレーするようになったからです。
僕は辞めていく彼らに
正々堂々勝った
わけではありませんでした。
正直
競争を勝ち抜く方法は
うまく立ち回れるかどうか。です。
自分の得だけを考えてやったらいいのです。
それを覚えたのは
小学卒業でクラブに入って
すぐでした。
一番最初に驚いたのは
みんなのテクニックのうまさよりも
ドリブルで抜かれたら
相手のシャツを
引っ張ってでも止めるという常識。
コーチは
「隣のやつはライバルだ」
と言っていました。
「削れ!」という指示も
その頃覚えました。
プロを目指す動機は
『グラウンドには金が落ちている』でした。
誰かに場所を奪われる
恐怖と不安は
いつも僕の心に残りました。
そのおかげか
そのチームは育成年代で
群を抜いていました。
世界大会にも出場しました。
でも
逸材と言われる天才が
次々と出て来ながら
大人になる前には
サッカー界から消える選手が
ほとんどという不思議な出来事も
起きていました。
でも今なら頷けます。
クラブに入った当時
まだ子供だった僕は
地元のクラブで培った
“サッカーは助け合うものだ”と
いうものを
大事だと思っていました。
お山の大将で好き勝手やったけど
できない仲間のカバーを考えたり
自分たちの弱点や
強みをどう活かしていくかを
感じながらやるサッカーは
強くはなくても
意義あるものでした。
そこで決める1点は
最高の感動でした。
まさにみんなで決めた1点。
みんなのための1点。
でも
そういう価値観は
一瞬で覆されました。
サッカーとは
・自分が評価されるためのツール
・大事なのは自分がミスしないようにすること。
・ミスしたらミスしたと思われないように
周りのせいにすること
・監督の言うことを聞くこと
そういうことを教えられました。
全国のエース級の選手が集まった
そのチームでは
勝つのが当たり前。
点を取っても歓喜どころか
淡々とサークルに戻ってきては
またそれを繰り返す。
自分の深いところの感情が
『これは違う!』と
語りかけるけど
“友達と助け合って負けたらバカを見るぞ”
“評価されなかったら意味ないぞ”
“ここやめたらプロになれないぞ”
という思考が
僕を大人にしていきました。
『外されたくない』という不安と
『プロになったらみんな喜ぶ』という期待が
僕に
”負けることは最大の悪”と
思わせるようになり
いつからか
『仲間のミスを許せない!』
『仲間の活躍が自分の存在を脅かす!』
そう思うようになりました。
そうなると
僕は恐怖や不安を
正当化して
損得を考えて
うまく立ち回るようになりました。
全国屈指の知識と
選手が集まったチームで
僕は
技術や戦術を深めていきました。
でも
サッカーが下手になりました。
選手としてセコくなっていきました。
でももし誰も辞めずに
卒業まで同じチームメイトだったら?
恐怖を排除して
入れ替わりじゃなく
常にポジションがある中で
お互いのいいところを
認め合って引き出しあっていける関係を
つくれたり
勝利だけじゃなくて
勝ち取るために
人として大事なことや
何か新しいことに取り組んでいく習慣とか
大金を稼げることだけじゃなくて
サッカー選手が持っている
プロになることで
世界に与える影響力や
プレーの意味を
知ることができたら
サッカーは
最高のツールになります。
実はこれを知ったのは
大学の部活に入ってからです。
大学の部活では
コーチや監督がいない環境だったので
自分で考えるようになりました。
4年間は遠回りのようでしたが
この4年間の部活動での経験から
僕は
若い年代でガチガチのシステムに
入ってはいけないと考えています。
だから
プロになるために
クラブユースに入ってはいけない。
そう思うのです。
サッカー選手になることを
夢の職業として煽られて
最新のスキルや戦術を教わったり
かっこいいシューズを履く前に
僕は身につけるべき
大事なことがあると考えています。
それは
”自分の頭で考えるという習慣”
実際に
世界でトッププレーヤーを見てきて
代表レベルの選手たちを観てきて
彼らは
競争ではなく
協力。
奪うよりも与える感覚。
自分の欲も大事だけど
それよりも大きな大義を持って挑む試合。
そういう意識を
僕は彼らの練習態度や話
試合中のプレー、
佇まいからいつも感じていました。
彼らはそれを
育成年代に
最新知識やコーチ
競争原理のない
お山の大将の環境で
身につけているようです。
お互いを理解しつつ
共通点を見つけて
さらに
いいところを引き出す
アイディアと
みんなを引っ張っていくリーダシップ。
そういう選手は
プロの世界に出ていく時
みんなの代表として
応援される人になります。
彼が持つ夢は
一緒にプレーした仲間の夢にもなるし
そうやって
多くの人に応援され
愛される人は
やっぱり土壇場で強いし
どんどん夢を実現していきます。
最新の研究で
そもそも競争では
人は力を出せない
金銭的な成果を目標にすると
創造力が減ってパフォーマンスが下がる
というのが
常識になっています。
だからもし
競争原理じゃなくて
創造原理と呼べるものがあったら
勝ち負けじゃなくて
工夫する方法や
自分の感情や考えしっかり伝えて
味方の感情や考えを受け止める
ということを土台に
つくっていくサッカーがあるとしたら
デコボコのチームでも
勝敗を目指す中に
チャレンジや成功
お互いのあり方や
サッカーの進化を認め合えるような
人格を創る場として
サッカーがあるとすれば
それは
地元の部活。
しかも指導者がいない
”お山の大将が生まれる環境”
だと思うのです。
もちろん
最先端のトレーニング施設も
知識もスキルも戦術も
大事じゃないとは言いません。
僕の選手としての土台は
あの当時の最新の環境や
スキルやトレーニング
のおかげです。
けど
長い目で見たら
中学高校年代は
無名の雑草で全然いい。
長くなったので今日は
この辺で。笑。
今日は
サッカー選手で伸びるためには
プロ選手になるためには
”中学の部活でいい”し
”自分の器が大きくなるような場所を選ぶ”
という話でした。
ぜひ意識してみてください。
それでは最後まで観てくれて
ありがとうございました。
とても共感しました。
今、私の次男が中3で部活生活があと2ヶ月ほどです。ジュニア時代にいたクラブチームで指導者たちと色々あり中学入学の時に部活に変わりました。ジュニア時代には他に上手い子がたくさんいて(ガチガチに型にはめようとする)監督から「アイツは大したことない。あんなもん(程度)」って言われていた次男が、部活に入り、大きな心で細かいことを言わない部活顧問の下でサッカーをしていたら、上手いこうまくない子まぜまぜチームをどうやったら勝てたり良いプレーを作れるのか、補い合えるのかいつも考えてメンバーと話して練習してます。自分たちで考えて自分たちで作り上げています。試合中に相手に合わせて戦術を変えたり選手のポジションバランス指示や元気ない時の声かけまで次男がするようになりました。
先日、そのクラブチームと中学部活の次男チームと試合があったのですが、
クラブの監督が試合中にあーしろこーしろと細かく指示し、できなかったら怒鳴り散らしていました。選手は萎縮していってました。
次男の部活チームは顧問の先生が「(出身チームに)遠慮せんでいーぞ」と言うだけでチームメイト同士声を掛け合ったり阿吽の呼吸で攻守に励み、ゲームが進むに連れどんどん良くなっていって点数でも内容でも勝利することができました。
そのクラブの子達は一人一人の技術は正直高いです。でも監督に言われたことをできるかできないか、だけだったのです。クラブを続けていたら次男は潰れていたでしょう。サッカーを続けていなかったかもしれません。
夏の大会で受験のため一旦引退ですが、結果がどうであれ、きっとかけがえのない思い出とサッカーを超えた仲間になると思います。高校でもサッカーをしたいと言っています。顧問の先生へ感謝の気持ちです。
長々とすみません。