Fake it until you make it
(上手くいくまで上手く行っているふりをする)
僕が大好きな言葉です。
・・・
僕は
子供の頃、キャプテン翼と
Jリーグのスター選手に憧れ
空き地でボールを蹴りはじめました。
ゴールを決めたらカズダンスをして
ラモスを真似して
ループシュートを死ぬほど練習しました。
グラウンドに立つときは
いつも誰かお気に入りの
スーパースターを真似していました。
小学校のチームでは
ゼッケン”10”はいつも奪い合いでした。
残念ながら”4番”になったときは
リベロのポジションに着いて
『井原正巳』になった僕は
スライディングやロングキック
ダイビングヘッドを真似していました。
PK合戦はもちろん
シジマール。
94年のW杯で
ロベルトバッジオが大好きになり
母さんに頼んで
ポニーテールをして児童館に行ったら
周りのみんなに
笑われ茶化されたので
傷つきました。
それでも僕は
『将来はプロになる』と
なんの根拠もなく信じ
勘違いしたまま
小学校を卒業しました。
でもそこから
大きくなるにつれて
たくさんの大人の人や
社会が教えてくれたのは
夢の叶え方じゃなくて
夢の諦め方でした。
彼らから教わる
世の中の常識を一つ受け入れるたびに
僕の中の根拠のない自信は
奪われていきました。
そして
周りにいた多くの
勘違いしていた少年達も
夢から覚めて
現実に引き込まれていきました。
『サッカーは選手生命短いし稼げない』
『安定した会社に就職したほうがいいよ。』
『親を安心させないなんて親不孝。』
『こんなこともできない才能ない奴には無理な世界。
どーせ頑張ったってむり。』
優しい大人の人たちが
教えてくれたのは
夢を諦めるための
もっともな理由でした。
・・・
『ど〜せ無理』
この魔法の言葉にかかると
夢を追いかける希望や
やる気が突然なくなり
諦めるための理由が
世の中にあふれ出しました。
そして
厄介なことに
『ど〜せむり』という言葉は
僕の気持ちを楽にしてくれました。
もう、やらなくていい
もう、頑張らなくていい
一瞬だけ
すごく優しく響いて
居心地がよくなりました。
だけどその度に
『それを受け入れたらダメだ』と
僕の中の
勘違いのサッカー少年
”リトルシモジ”が
必死に拒否していました。
・・・
『おれはプロ選手になるんだ』
勘違いを続け
大学生になった僕に
『お前は絶対なれる』と
信じてくれる人は
ほとんどいませんでした。
自信がなくなりかけていた僕は
お祭りに出てた
手相診断に心惹かれました。
かなり的中するらしい
有名な占い師に
将来を見てもらいました。
『君の天職はサッカー選手かスポーツ選手。』
『こんなすごい手相は見たことない。』
と
言われたかった僕。
占い師「君スポーツ何かやってる?」
僕「(きた〜!!)はい、サッカーやってます。」
・・・
占い師「選手は向いてないね。コーチがいいと思うよ。」
・・・
帰りの電車で僕は
あんなやつに人生を
軽々しく決められてしまった悔しさと
それでプロになれないんじゃないかと
不安になっている自分の弱さ
すがってしまった
自分の情けなさに
嫌気がさしました。
もう
大学3年生が
終わっていました。
『やっぱり夢は頑張ってもかなわないかも』
『全員が全員プロになんてなれない。』
そう思うようになりました。
だけど
どんなに頭では理解できても
その現実を受け入れることが
できませんでした。
・・・
後半へ続く